Voicyのトークテーマで「学び直したい分野」というのがありました。
学ぶという手前ではありますが、もっと知りたいと思う分野なら、ひとつ思い浮かびました。
それは、料理です。

ただ、新しいレシピをたくさん覚えたいわけではないし、料理の腕を上げるために本格的に勉強したいわけでもありません。
知りたいのは、料理の原理。
なぜこの工程が必要なのか。なぜこの順番なのか。なぜこの食材に、この調理法が合うのか。
例えば、鶏胸肉を塩糖水に浸けておくと、しっとりおいしく調理できるということを、上田淳子先生のPodcastで知りました。
それをきっかけに上田先生の本を読んでみると、塩糖水の仕組みについて説明されていました。

動物の筋肉は多数の筋繊維でできているそうなのですが、その中にある筋原繊維タンパク質は、加熱によって変性し、収縮と水分流出が起こった結果、肉が固くなるということ。
でも塩糖水漬けにすると、これを防ぐことができる。
塩が浸透すると筋繊維がほぐれて筋原繊維間のスペースが広がり、ここに水分を蓄えることができる。
そして、砂糖の分子と肉のタンパク質分子が結合することで、加熱による縮みや凝固を抑制する。糖は保水性が高く、肉の中で水分をしっかり保つことができる。

こういう仕組みなのか!と、理解できました。
そういえば、長谷川あかりさんのレシピでポークソテーを作るときも、はじめに豚肉に塩と砂糖を揉み込む工程があった!あれはこういう意味だったのかも!

以前なら、塩糖水活用レシピを見つけて「へえ、そうなんだ」と試して終わりだったかもしれません。
でも、その仕組みを理解すると、単にひとつのレシピを覚えた以上のものが得られる気がしています。
別のレシピを見たときにも応用できるし、材料や分量を少し変えたときにも、自分で考える手がかりになる。
レシピを読むときに、書かれている手順だけではなく、書かれていない理由まで読み取れるようになれたら、結果的にレパートリーを増やすことにも繋がるのでは。
塩糖水の仕組みほど化学的な根拠でなくても、汎用性のある料理の雑学を知れたら楽しいなとも感じています。
料理家の長谷川あかりさんのレシピによく出てくる、ちくわやはんぺん、かまぼこといった練り製品。
これらをひき肉に混ぜ込むと、不思議と魚介の風味がすることは、以前の蒸籠の話でも書きました。
はんぺんやちくわを常備するようになってから、この料理に加えてみたらおいしくなるかも!と、自分で思いつくことができたり、活用方法を試すようになっています。

こういった、「レシピの行間を読みたい」という興味を満たしてくれるコンテンツについて、ご紹介します。
ひとつ目は、上田淳子先生のポッドキャスト「料理楽しくなる相談室」。
単に料理の作り方を紹介するだけでなく、なぜその工程を入れるのか、どう考えればいいのかという、レシピの行間にある知識や考え方に触れられます。
どうやら上田先生のお父様が化学の先生だったらしく、子どもの頃から何事も原理を学ぶことが大事だと自然と教わってきたとお話されていました。
「レシピ以前の料理の心得」というご著書も面白かった!レシピも少し載っていますが、どちらかというと文章メインの読み物。
この本の中でも、なぜこの手順なのか、レシピには書き表せない部分がたくさん出てきて読み応えがあります。
続いては、長谷川あかりさん。
あかりさんのYouTubeチャンネルでは、実際に料理を作りながら解説をされているので分かりやすく、毎週楽しみにしています。
もうひとつは、TBS CROSS DIGというYouTubeチャンネルの中でシリーズ化されている、長谷川あかりさんの「信じられる料理」。
こちらは、「料理をしない料理番組」という斬新な料理解説動画。
MCの竹下さんとあかりさんの対話形式で進んでいくのですが、どうやってレシピを組み立てているのか、なぜこれを作ろうと思ったのか、かなり裏側というか背景的なところも踏まえてトークされているのが面白い。
このチャンネル自体が全体的にはビジネスパーソン向けということもあって、料理の概念や考え方を通してビジネスマンが日々の業務にも応用できるメンタリティーというか、メソッド的に通ずるところに着地していく、まさに新しい料理番組という印象です。
何かを習得するために机に向かって勉強するというより、好きなコンテンツを楽しんでいたら、いつの間にか知識が増えている。
自分にとっては、それくらいの学びの距離感がちょうどいいと感じています。