最近、「なぜ人は穴があると覗いてしまうのか 人を“その気”にさせる仕掛学入門 (幻冬舎新書)」という、“仕掛学”についての本を読みました。

「仕掛学」という世界初の学問分野を築き上げた著者が、街中で見つけた仕掛けを紹介しながら解説をするという構成。
分かりやすい事例としては、バスケットゴール付きのゴミ箱が挙げられています。街に置かれたゴミ箱には、「ゴミはゴミ箱に!」の貼り紙より、バスケットゴール付きゴミ箱を置くほうが、街の美化には効果的。
人はバスケットゴールに向けてゴミを入れたくなるし、もし外してもちゃんと拾って捨てにいくという効用があるとのこと。
このようにユーモアがあって、つい“その気”になってしまう仕掛けは、人を動かす万能な方法だと、本書では書かれていました。

公共施設やデパートのトイレ個室内では、「きれいにお使いくださりありがとうございます」という表示を目にすることがあります。
先にお礼を言われると、“つい”きれいに使おうと思いませんか?「トイレはきれいに使いましょう」という注意喚起よりも効果が上がるような気がします。
玄関の靴マークシールも仕掛けのひとつかも。
玄関の靴を並べる位置に靴のマークシールを貼ることで、子どもたちがそこに靴を置いてくれるというもの。“つい”そこに置きたくなる仕掛けです。
わたしは整理収納や家事の話をするときに、よく「仕組み化」の話をすることがあります。考えるべきことに頭を回せるように、考えなくても良いことは勝手に手が動くレベルまで仕組み化しておきたいし、仕組みをつくること自体が楽しくも感じています。
でも“仕組み”だけでは、なかなか動けなかったり、そもしも仕組みを整えることが機械的で業務的=苦手だと感じる人もいるかもしれません。
たとえば、
早起きがいい、運動した方がいい、片付けた方がラク、スマホ見すぎない方がいい。
そんなことは、みんな知っているけれど、知っていてもできないことってあります。
意志が弱いとかじゃなくて、「正論だけでは人は動かない」ということ。わたしも日々痛感しているわけで…。
正論も必要だけど、ちょっと気になるとか、なんか面白そうとか、ついやってしまった、みたいな“仕掛け”で動く場面が意外と多いのではないでしょうか。
気合いや根性じゃなく、環境の中に「思わず」を作っておく。”仕掛け”をつくると考えると、少しワクワクしてきませんか?
自分や家族に対してユーモアのある仕掛けをつくる。これはつまり、自分と家族の性格や習性をよく観察しておく必要はあるのですが、これは暮らしの工夫にもすごく近い気がしています。
伝え方を少し変えてみるのも人の心理を動かす仕掛けになるかもしれません。
トイレの貼り紙の事例を応用して、家でも子どもスペースに「片付けてくれてありがとう!」みたいな貼り紙をすると何か変わったりするのか。仕掛けてみたくなってきました!
自分のことで仕掛けを考えてみると、読みかけの本をすぐ手に取れる場所に置いておくと、スマホじゃなく本を開きやすいとか。
運動も、「健康のためにやる」だけじゃ続かないけど、お気に入りの音声を聞ける時間にすると楽しみになる。
今まで続いている習慣としてお話したきた読書と運動。
わたしは仕組み化したから続いているのだと思っていてそれは事実なのですが、自分がやりたいと思える仕掛けを仕込んでいたのだなと気がつきました。

仕組みでも仕掛けでも、言葉はどっちでも良いのですが、結局人が何かをやらないのって、“できない理由”があるというより、その行動を「今はしたくない」からだと思います。
だから、できない理由を全部つぶそうとしても、また別のできない理由が出てくる。
時間がないとか、疲れてるとか、天気が悪い〜などなど。(全部わたしの言い訳)
でも逆に、“やりたい理由”が強いと、できない理由しっちのけで結構動けたりするような。
だから大事なのは、「どうやったらできるか」だけじゃなくて、「どうやったら、ついやりたくなるか」、つまりユーモアのある仕掛けを考えることなのかもしれません。