なんだかすごい本を読んでしまった、というのが読み終えた時の最初の感想でした。
読み終えたあと、しげしげと表紙を眺めてしまう本に出会う確率はそう高くないので、「なんだかすごい」という感想をもう少し掘り下げて残しておこうと思います。
「死にたい」という衝動に度々襲われる著者(土門さん)が、カウンセラーとのやりとりの中で、なぜそう感じるのか、「死にたい」を言い換えるなら?と自分と向き合っていく工程を、隣で見させてもらっていたような感覚で最後まで読み進めました。
抽象的な表現が多いけれど、「その感覚わかる」と共感できるところ、言語化するとわたしもそれ思ってる!という箇所が随所に。
土門さんは色々な試行錯誤を繰り返した結果、文章を書き続けることを中心に自分だけの星を耕すことを決めます。(これも抽象的な表現だけれど、この本を最後まで読んだらとても具体的な話に思える)
そういえば、北欧、暮らしの道具店のオリジナル曲「わたしの星」の作詞も土門さん。
この曲は、いつも楽しみにしているラジオ「チャポンと行こう」のエンディング曲として聴いていて、歌詞もなんとなく覚えていましたが、たしかに全体的なテーマとして「わたしだけの星」感が強い。というより、他人の価値観と多く交わる必要のある世界から、誰もいない自分一人だけが存在する別の星に帰ってきた解放感が全面に感じられる曲になっている気がします。
この本を読んでいたら、改めてしっかり歌詞を見ながら「わたしの星」を聴きたくなってきました。
と思ったら、この本を読み終えたまさにその日が「チャポンと行こう」の最新回配信日で、なんというタイミング…!
わたし自身、他者との関わりが上手な方ではありません。むしろ毎日人に会う予定があると憂鬱になったり、たくさんの人とお話した後はどっと疲れてしまったり、ゴールの見えない子育てなんて本当に向いていないと落ち込む日々。話しかけられても空返事しかできず、早く一人になりたいと思う自分は母親失格だ〜なんて自己嫌悪を繰り返したり。
そんな負の感情を持ったときこそ、わたしも逃げるように何か言葉にしたくなります。
土門さんのような素晴らしい言語化はできないし、わたしは紙とペンでなくスマホのメモ帳機能なのですが、こうして書いていることで少し気持ちが安定してくる感覚はたしかにあったり。
あとは写真。普通の日常写真なのに、カメラを通して自分や家族の記録を残して客観視することでも気持ちが落ち着くことがあります。
「さあ、書こうと。死ぬまで書こう。これからも生きるために。」
土門さんの力強いこの一文。
わたしのブログは稚拙な文章のままだけれど、続けている理由は自分の中にたしかにある、と思えました。