今日は前回の話の続きになります。
旅行の話をしながらふと、これって防災と似てないか?と感じました。
旅行も防災も共通しているのは、家から離れて生活すること。
具体的には、
• 住み慣れた環境を離れる
• 限られた荷物でやりくりする
• 日常の「当たり前」が保証されない
という点で、両者はとてもよく似ています。
避難所生活ではなく在宅避難をするにしても、電気やガス・水道が止まってしまうと、そこは住み慣れた環境でなくなり、限られた荷物で当たり前の生活が保障されないことは同じですよね。
ただ、このような分かりやすい側面だけでなく、わたし個人としては、旅行と防災に対して持つ感覚的なところが似ていると感じています。旅行は楽しい非日常だけれど準備や後片づけ、冷蔵庫整理まで含めると、どうしても負担が大きく感じます。(でも行けば楽しいことは分かっている…)なるべく日常の延長で気軽に出かけたい。
この「日常の延長で非日常への準備をしたい」という感覚そのものが、防災とよく似ているように感じるのです。
マイナス的な非日常として災害があり、プラス的な非日常として旅行がある。方向性は正反対であっても、日常の対義語である非日常という点では同じカテゴリー。
そこで今日は「旅行」と「防災」、どちらにも使えるフェーズフリーの考え方について書いてみたいと思います。
防災の分野には「フェーズフリー」という考え方があります。
これは、平常時と非常時を分けずに、どちらでも役立つモノやコトを取り入れておこう、というもの。
例えば、日常的に使っている水筒やモバイルバッテリーが、非常時にも活躍する。
“備えるためだけの特別なもの”を持つのではなく、日常と地続きのものを活かす、という発想です。
わたしは災害時への備えがなかなかできない時期もありました。でも、日常の延長で備えるという方法を少しづつ取り入れてからは、防災へのハードルが低くなったような気がしています。(毎週の生協注文で少しづつ食料備蓄を整えるみたいな)
この考え方を旅行やアウトドアにも応用できれば、もっと気軽にフットワーク軽く色々と出掛けることができるのでは。インドア派のわたしがそう思いたくなったきっかけ、それは娘たちの成長です。姉妹がもっと幼い頃は、「もう少し大きくなったら…」と後回しにしていたお出かけも、いつしか「あと何年家族みんなで出掛けられるか」と考えるようになったことがきっかけです。
ここからは具体的なお話。
旅行のフェーズフリー化、わたしには物理的な面と精神的な面の両面が必要だと感じています。
物理的な面は、モノの準備。旅行時だけに使うものはあまり持ちたくないという点から。
旅行用のカバンは持たず、娘のお昼寝布団を入れるカバンを旅行用に使っています。
これはわが家の移動手段が基本的に車であることが前提なのですが、昼寝布団カバンって、めちゃくちゃ万能だ!と気がつきました。
まずは容量が大きく、なんでも入ります。そして折り畳むととてもコンパクトになるので、使わない時の収納場所にも困りません。ファスナー付きで安心なことや、肩紐が長いので肩掛け持ちがラクにできたり。
わが家の昼寝布団カバンはたまたまナイロン生地なので少しぐらいの雨なら困らないこと、使ったあとは洗濯機で丸洗いできることも◎。
日常の延長にあるものを非日常に転用できたなぁと感じています。
もうひとつは、スキンケアをボトルごと持っていくこと。
小分けにすることすら面倒に感じてしまうわたしは、普段のボトルごと旅行先へ。荷物はかさばりますが、容量の大きい昼寝布団カバンのおかげで問題なく運べています。
「日常で使っているものの形を変えずにそのまま旅行に持ち出す」という習慣が、旅行準備を物理的にラクにしてくれています。
次に精神的なハードルを下げるために必要なことは、前回書いたようなスムーズに日常へ戻るための仕組み化です。帰宅した日の夜ごはんを決めておいたり、すぐに洗濯機を回せる状態にしておくというような準備をして、なだらかに非日常から日常へ戻る仕組みが整っていると、長時間家を離れても大丈夫という気持ちも整います。
あとは、防災への備えを少しずつ進められてきたことが、実は旅行のハードルも低くしてくれていることに気が付きました。
「ポータブル電源と備蓄用の水と防災リュックも持って行けば大丈夫」という事実によって、旅行先で何かあったらどうしようという不安を知らず知らずのうちに解消していたのです。
旅行と防災は、一見まったく違うものに見えて「いつもと違う生活環境で、限られたもので生活すると」という点で同じです。
だからこそ旅行支度をフェーズフリーの視点で整えると、旅が気軽になるだけでなく、防災にも自然につながる。
非日常を、特別な準備ではなく、日常の延長で支度する。
そんな視点を持って、楽しい非日常(旅行)やいざというときの非日常に備えながら、何より何でもない毎日という日常を大切に過ごしていきたいと考えています。