「いつか」を手放しつつ、「いつか」に備えて準備する

Voicyでいつも聴いている尾石晴さんの「からまる毎日のほぐし方」を読み終えました。

わたし自身30代半ばを迎え、子育てやこれからのことについて悩む中で、晴さん自身の実体験を元にしたエピソードに共感したり「なるほど」とメモをしたり、読み応えがありながらもスラスラ読み進めることができた本。

その中で、相反するようでそうでもない2つのエピソードが印象に残ったので、ここに書いておこうと思います。

ひとつ目は、晴さんのお母さまのこと。老後のためにと残しておいた貯えが十分あるにも関わらず、漠然とした未来の不安(老人ホームに入居するかもしれない、家の修繕費の心配など)から、貯蓄を切り崩さず年金でギリギリの生活を送っているとのこと。晴さんとしては、今使わないでいつ使うのと言いたくなる状況。

いつか、なんて心配するよりも、70代の今を楽しむためにお金を使った方がよいと、読んでいてわたしも思いました。

漠然とした不安の未来である「いつか」にとらわれすぎて大切な「今」を見失っていては本末転倒だということは、これまでも色々な本やラジオで見聞きしたことがあります。

一方で、ふたつ目のエピソードは晴さんの旦那様の話。

いつか登ってみたいと思っていた山に登れるチャンスが訪れたとのこと。チャンスが現れたのは突然でも、旦那さんはそれまでにも「いつかこの山に登りたい」と思いながら情報を集めたり身体作りをしていたようです。

来るべき「いつか」を大切にして、そのために備えて準備をしていたから、そのチャンスに出会うことができた。

ひとつ目のエピソードは、お金に関すること。

「いつか」ではなく「今」に目を向けてお金を使う。

ふたつ目のエピソードは、行動に関すること。

「いつか」のために「今」準備しておく。

どちらも、つまるところは「いつか」を意識しつつも「今」の自分に重きを置いておくことが大切なのかと感じました。

不安なことにしても願っていたチャンスにしても、「いつか」なんて来るかわからないのは同じ。

その時の自分の年齢や家族の状況にもよりますが、今を大切に適切にお金を使いつつ、いつかのための小さな行動を続けていけたら…。

そして最後に、この本全体を通して強く感じたのは「もっと自分の身の回りで起きている出来事に目を向けよう」ということでした。

この本は晴さんが実際に経験されたこれまでの働き方、子育て、人間関係から掘り起こされたエピソードを元に書かれたもの。

ほんのちょっとした出来事から、そこまで思考が広がるのか…!という内容ばかり。

思考を深めるためには、もちろんある程度の知識は必要ですが、学びや気付きは本やネットの中にだけでなく、身近な実体験から得られるものが多い。

スマホの中や本の中に適切な解を見つけようとするのではなく、目の前の子どもたちや夫との会話、日々の仕事の中で感じたことなどに目を向けたい。

そんな風に思えた一冊でした。