「片付けを教える」とは、本来こういうことなのかもしれない

最近読んだ中で、一番「読んでよかった」と思った本がこちら。

片付け屋の女性が、依頼を受けて様々な家を訪問し片付けていくストーリー。(以下、ネタバレあります)

物質的なモノの片付けではなく、心の片付けに重きを置いて、片付けを依頼した本人自ら片付けに取り組んでいくように展開されていきます。

今の世の中、一般的な片付けノウハウや便利な収納グッズは溢れるほどあるし、断捨離やミニマルに暮らすコツも、本やネットですぐに検索することができます。

それでも片付けようとしたときに、何かがストッパーになって思うように進められない登場人物たち。

社内不倫に悩む女性や妻に先立たれた夫、子を亡くした主婦など、それぞれに断ち切れない過去や今の状況があって、自分でもこのままではいけないと思いつつ、部屋も心も散らかるばかり。

片付け屋の女性は、部屋を見ながら依頼主のストッパーになっていることは何かを見出して、様々な方法で、依頼人自ら片付けに前向きに取り組めるよう、良い意味で仕向けていきます。

片付けノウハウや収納に関するライフハックを教えるのではなく、主に人間関係や気持ちの整理をメインに。

実際、片付け屋が手を動かして片付けるシーンは少なく、一緒に家の中を見て回りながら片付けられない登場人物たちと会話をする場面が多いのも印象的でした。

片付いたその後のことはあまり書かれていませんが、このやり方ならきっとリバウンドせず、片付け屋に依頼しなくても自分でその状態をキープできるのだろうし、それこそが「片付けを教える」ということなのかもしれません。

端的に言えば、「手段より目的」を教える方法で、この片付け屋の女性は依頼人も自覚できていない心の奥底にある願いまで深く探っていくスタイル。

例えば、「片付いた部屋で暮らしたい」という目標だとすると、「なぜそう思うのか」「そうなることで変わる未来は何か」までつっこんで、人生と向き合わせているような。

わたしは今、リセノさんのサイトで整理収納に関するエッセイの連載をさせていただいています。

Re:CENO Mag

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具体的な収納方法について書いている回もありますが、整理収納への向き合い方など抽象的な話やわたしの過去の実体験なども織り交ぜながら、ノウハウだけではなく、読んでくださった方が「なぜ片付けたいのか」を考えるきっかけになるような内容にしていきたいなと、改めて思っています。